spiral
「亜未?」手を震わせて
俯きながら亜未は言った
「私は天使なのに…動揺して、何も出来なかった。もっと早く治癒魔法を使ってたら、千里は…!!」
「落ち着け亜未、お前のせいじゃない。」
風がしゃがみ、亜未の肩を叩いた
亜未の視線が風に向かう
不安しか写していない亜未の瞳に
風は優しく笑った
「羽田は今頑張っているんだ。お前が支えてやらないで誰が支えるって言うんだよ?」
「…風。」風の言葉に
亜未の瞳から少しずつ涙が溢れていく
やっぱり、風は大人だと思った
風に言われたら、どこか安心する…それは俺も同じだから
シュンーー目の前のドアが開く
そこから医者が一人現れ、俺達は無意識にソイツの下に駆け寄った
「先生!」
「千里は…千里は…。」
次々に問いかける俺達に、医者は一度息を吐いて
「やるべきことはしました。とりあえず、命に別状はないでしょう。
あとは、彼女の意識が戻るのを待つだけです。」