spiral

一瞬の隙だった
俺が迷った、一瞬

その一瞬をついて、風は俺を突き飛ばす



俺は受け身なんてとることも出来ずに壁に全身を打ち付けた



「ぅっ!!」



そのまま無様に地面に倒れ込む

背中を強打したからか、呼吸が酷く乱れた



「っ…ふ、う。」



掠れる視界でも
風が徐々に距離をつめてきているのが分かった



「風…俺の事がわからねぇのか…?」



俺の言葉に答える事無く
風の歩みは止まらない




…やっぱり、いつもの風じゃないんだな






間合いを詰めた風は、俺の首を乱暴に掴む
そのまま立ち上がらせ、徐々に力を込めた



「っ…!!」


首を閉められ、反射で俺は風の腕を掴んだ
けど、力が弱められる気配は無い


もういい



もういいよ




「…殺せよ、風。」





< 93 / 184 >

この作品をシェア

pagetop