spiral
一瞬の隙だった
俺が迷った、一瞬
その一瞬をついて、風は俺を突き飛ばす
俺は受け身なんてとることも出来ずに壁に全身を打ち付けた
「ぅっ!!」
そのまま無様に地面に倒れ込む
背中を強打したからか、呼吸が酷く乱れた
「っ…ふ、う。」
掠れる視界でも
風が徐々に距離をつめてきているのが分かった
「風…俺の事がわからねぇのか…?」
俺の言葉に答える事無く
風の歩みは止まらない
…やっぱり、いつもの風じゃないんだな
間合いを詰めた風は、俺の首を乱暴に掴む
そのまま立ち上がらせ、徐々に力を込めた
「っ…!!」
首を閉められ、反射で俺は風の腕を掴んだ
けど、力が弱められる気配は無い
もういい
もういいよ
「…殺せよ、風。」