小さな願い






目の前で眠っているのは間違いなく美咲だ

でも顔は分からない…

顔には白い布がおいてある









「お前…なにしてんだよ」

「…」







返事が返ってくるわけがない

なのに俺は喋り続けた







「俺の…せいだ…

もっと粘って浦田に美咲と帰れるように

してもらえばよかった…

ちゃんと進路を決めておけばよかった…

寄り道すんなよって…言えば…





俺にはお前だけなんだ…









急に俺の目の前に現れて…こんなに惚れさせて

なに許可もなく死んでんだよ…

こんなことなら…もっと好きだって言えばよかった

愛してるって言えばよかった…

抱くときだって優しくすればよかった…

なんだよ…俺最低の彼氏じゃねぇか…」







いつの間にか流れていた涙をぬぐいながら

俺は美咲の顔にかけてある白い布を取った







まるで眠っているかのような綺麗な寝顔だった
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