風が舞
『…凌姫様(りょう)お止めくだされ…!!』


次女たちの大きな声が聞こえてくる。


『よいではないか。』


しかし、決して変なことをしようとしておるわけではない。はず。


『そのようなもの、乗るものにはございませぬ。』


…乗るものでなければなんなのじゃ。


『父上、兄上も乗っておろうが。』


父上や兄上が乗っていて何故わたしは乗ってはならぬ。


だが次女たちは食い下がることなく少しずつ近づいてくる。


…そなたらが単に怖いだけであろう。


『…怪我でもなされたらどうなさりますか!』


怪我…?


『するわけがなかろう。わたくしは父上のお子であり兄上の妹であるぞ。兄上は十歳のときにはとうにできておったそうじゃ』


わたしも十歳。もう乗り初めてもいい年のはずだ。



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