風が舞
『凌姫様は、おなごにございますれば。』
『そのようなこと関係あるまい。』
『ですが…!』
ここまで言っても次女たちが諦め始めようとはしない。
そんなことを思っていると、砂利がすれる音がし、二人の人影が見えてきた。
…?あの後ろ姿…!
『兄上様!!』
歩いていた二人のうち一人が、こちらに築いて近づいてきた。
『おぉ。…凌!元気であったか。』
しかし…何故兄上がここに?兄上は、父上と一緒に勤めをしに他の国へ行っておられ帰りはもう少しあとのはず…。
『兄上様、お帰りなさいませ。』
『…ただいま帰った。』
しかし、無事に帰ってきて下さるがなにより。
いつもどうりの優しい笑顔に落ち着いたトーンの声。わたしと年が5つ年が違う自慢の兄だ。
『…しかし、そなたこのような場所で何をしておったのだ?』
兄上について行こうとしてもいつも止められていたので今まで一度も馬小屋へ来たことはない。
不思議に思うのも無理はない。
『実は、わたくし馬にのろおと思うておったのですが、この者たちが乗ってはならぬと…』
兄上なら分かっていただける。
『…凌、おなごは馬に乗ってはならぬのだよ。』
しかし兄は静かに妹を諫めた。
『なぜです。わたくしは兄上様や父上様のように馬に乗ってみとうございます。』
…兄上にまで反対されるとは思ってもみなかった。
『…怪我などしてみよ。どうする?』
『いたしませぬ。』
兄は苦笑をしながら妹の近くによった。