風が舞
『…そなた、道に迷うたのか?』


…兄上様と同じ落ち着く声。


しかし顔は馬に乗っていてあまり見えない。


『…わたくしは、迷うてなどおらぬ。』


ただ単に、ここから帰り方が分からぬだけ。


そう申したのに明らかな疑いの目。この者はわたしを知らぬのか。


『意地をはるでない。』


『はってなどございませぬ!』
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