二股?ガール -モテ期到来-



「…………兎」


不意に琉稀に呼ばれて少しだけ体が跳ねた。

でも、今琉稀の方を見ると涙が目から出てきちゃうそうだから見れない。


「ほ、ほら!だんだん景色見えてきたよ!それに夕方だから綺麗だね!」


実際、外なんて見てないからてきとうに言っちゃった。



どうしても琉稀には楽しんで欲しいから降りるまでどうにか頑張んなきゃ……。

涙もひっこめ……。




「おい、兎」

そんな私の言葉もスルーして呼んで来る琉稀。


「な、なに?」

「なんか、兎おかしくね?」

「え、そ……そうかな?」

いつも通りだよ?とへへッと笑い返す。



「やっぱ、いつもと違うな。それに、兎……ちゃんとこっち見ろよ」



い、いや、もうだいぶゴンドラも高いはずだし、涙溢れちゃうし絶対見れない。



「え、えと……りゅ、琉稀……っ、きゃ!?」


しどもどろにも、言い訳をしようとしたら突然ゴンドラがグラリと揺れた。


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