secret love -彼氏の秘密-



一人っ子だった俺は、「お兄ちゃん」と懐くその子が、可愛くて可愛くてしかたがなかった。

本当の妹が出来たようで、俺の毎日がその子のお陰で明るく輝いて見えた。


だけど、そう楽しい日々は続かない。

親父の仕事の都合で、俺は引っ越す事になったんだ。


そして、別れの日……

その子は泣きながら、俺にこう言ったんだ。


「あたし、お兄ちゃんのお嫁さんになる!絶対待ってるもん!」


俺は思わず叫んだ。


「約束だ!絶対戻ってくるから!約束だよ!」




……そんな約束

もう無効だと思っていた。

あれからお互いの月日は流れすぎて、

その子もきっと忘れているだろうと。



だけど、もう生きる事が出来ないと、知ってしまった途端に、
どうしても、一目でもいい、逢いたくなってしまったんだ。


心残り……だな。


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