secret love -彼氏の秘密-
「由羽ちゃん、いらっしゃい。あら、透(トオル)君、久しぶりね」
突然訪ねて来る私に、おばさんはいつも美味しい紅茶を用意してくれる。
手作りのマフィンやクッキーから、おばさんの優しさを感じて、私の心は温かくなった。
今日は、久しぶりの杉坂先輩の姿に、おばさんはいつもより嬉しそうで、
そんなおばさんのペースにたじたじな先輩を見て、私は思わず笑みがこぼれた。
ちょっとお手洗いにと、席をたった私の視線の先には、ふと、大貴の部屋。
仲良く談笑中の二人をドア越しに感じながら、
私は大貴の部屋の前に歩み寄ると、ゆっくりドアノブに手をかける。
一度も行った事がなかった場所。
行きたいと、散々大貴にねだった場所。
そして、
結局叶わなかった場所……。
一瞬躊躇いつつも、私は静かにドアを引いた。
ギィ――…