大人の事情
まえがき
「おはよう」


「おはようございます」

私の名前は杉本和(すぎもと のどか)


中学校のカウンセリング教師をしている。


私の勤めている桜ヶ丘第二中学校は桜ヶ丘にある学校の中で一番荒れていると言われている。


桜ヶ丘ニュータウンは学校が多い。


小学校は桜ヶ丘東小、西小、南小、北小、そして私立の桜ヶ丘学園の5つ。


中学校は桜ヶ丘第一中学、第二中、第三中、第四中、第五中、第六中と私立の桜ヶ丘学園中等部の7つだ。


来年には第七中と第八中もできる予定。


小学校の数に対して中学校が多いのは、中学校が小学校よりも学習室が無駄に多く、教室が最高でも5クラスしか作れないからだ。


それに対し、小学校は必要最低限の学習室しかないので最高10クラスも作れるというわけだ。


桜ヶ丘ニュータウンができたのは6年前。


引っ越しをしてくる者が多いため、子供の数が尋常じゃない。


そのため学校ばかりできてしまうのだ


そしてこの第二中学はその数多い中学の中でさっきも言ったように一番荒れている。


私がこの第二中学にきたのは2年前。


開校当初は3校の中で一番穏やかな学校だと言われていた。


3年目になり急に荒れ出したらしい。


私は荒れてる二中しかしらないけれど


そして、去年までは三中も二中に負けないくらい、と言っていいのか分からないけど


荒れていた。


今ではだいぶ穏やかだ。

一人一人はいい子なのだけれど。


「おはよう」


「ちーす…」


私は振り返って生徒の背中を見つめながらため息をついた。


今日も、私の1日は始まる。



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