大人の事情
「そんなの学校では必要ないでしょ!」


「いや、わかんねぇじゃん」


「わかるわよ!」


私が大声で怒鳴っていると、職員室から高井先生が顔を出した


「どうしたんですか?」

「やっべ」


高井先生は悠斗のクラスの担任。


ここでコンドームの事を言ったらもしかしたら悠斗は停学になるだろう。

普段からいろいろと問題を起こしているから


「和、言わないで」


悠斗が小声で言った


私だって悠斗を停学にさせる趣味はない


「いえ、何も」


「でも…本当ですか?」

「ええ」


「そうですか、分かりました」


そう言って高井先生は職員室に戻っていった


「ありがとう、和」


「別に、その代わり今日の放課後にカウンセリング室に来なさい」


悠斗は例のものが他に落ちていないか確認しながら言った。


「何で?」


「反省文書かせてあげる」


悠斗の動作が一瞬止まり、


ゆっくりとこちらを向いた


「今、何て?」


「反省文、書かせてあげる」


「何枚?」


「2枚以上」


「えー無理!」


露骨に嫌な顔をしながら悠斗が言った


「当たり前でしょーそんなの学校に持ってきたら」


「えー」


「停学にならなかっただけいいでしょ」


「ちぇ…」



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