君がかけた虹
右腕を掴まれて紳くんの腕の中にスッポリ入った。
「なんで分かってくんねぇの?」
頭の上から声がする。
「ちょ‥‥離してっ」
抵抗しても男子の力にはかなわなくって、
紳くんの腕の中からは逃げられない。
「やだね、」
「お願いだからっ‥‥」
グラウンドの近く。
晴希に見られたら‥‥なんて思うと
涙が出そうになる。
勘違いなんてされたくないけど
こんなの見られたら言い訳だって出来ない――――
「何してんの?」
「晴、希‥‥」
晴希に見られちゃった‥‥
もうヤダっ―――
「鈴花、嫌がってんじゃねぇかよ!」
晴希が私と紳くんを無理やり離した。
「んな怒んなよ、ちょっとふざけただけだって」
「ふざけんな!泣いてんじゃねーかよっ」
私は紳くんに抱きしめられたから泣いてるんじゃない。
晴希に誤解されたと思ったから‥‥
「鈴花のこと泣かしてんじゃねーよ!」
「晴希、私はもう平気だよ?」
晴希が誤解してないなら、私は平気。
「よくねーよっ」
「えっ‥‥?」