ルビゴンの河の先
その晩、小田原城で宴が催されることとなり俺らは1人ずつあてがわれた部屋に通された。
秀吉公には伝えていない。俺が未来の世を体験したことも、その未来からあかりがやってきて城の俺の部屋で眠り続けていることも。
…あかりを妻にしたいことも。
「―――秀吉公。よろしいでしょうか」
部屋の外からそう声をかけると入れと返ってくる。俺は静かに襖を開け、部屋の中に入ると公の前で平伏した。
「ん?どうした半兵衛、急になにを」
「………私がこれから話すことをどうか信じていただきたい」