ルビゴンの河の先





「―――どうした改まって。…まぁよい、聞こう」


驚いた様子の秀吉公だったがそこは流石。
俺が話しやすいようにとどっしり構えて次の言葉を待っている。


…かつてこんなに緊張することがあっただろうか。






「………先日、私が8日あまり目を覚まさなかった時の話でございます」


一月ほど未来の日本で生活したこと。
実は肺に病を患っていたけど、未来の医術で完治したこと。
世話になった家主に惹かれたこと。今も愛してやまないこと。




こんな話誰も信じないだろう。しかし、命を懸けた主にだけはわかってほしかった。
そしてできれば―――…





< 121 / 144 >

この作品をシェア

pagetop