ルビゴンの河の先
―――ゲホッ、ゲホ!
「…く………」
大人しくしていればなんてことはない咳が、身体を動かす度に俺を苦しめる。
つい先日軽い気持ちで軍医に相談したところ、考えもしていなかった返答が返ってきて頭が真っ白になったのだったな。
―――肺に潜む病魔。
不治の病であると。
「…情けないものだな」
ぽつりと呟くと、先程の咳で口元を塞いだときに掌についた血を懐紙で拭う。
愛刀を携えて部屋を出る頃には、軍師・竹中半兵衛の顔になっていた。