ルビゴンの河の先
5. 信頼
―――呼ばれた、気がした。
眠っている竹中さんのいる部屋のドアを振り返り、私はそのまま再び考え込む。
「…肺炎」
史実に残る“竹中半兵衛”は病死している。
そして、今この家にいる竹中さんは確かに肺に病を隠していた。
それを治してしまうということは、つまり歴史が変わってしまうということ。
あのときはとっさにお医者さんを呼んだけど、今こうやって冷静になってみると改めて自分の浅はかさに身震いが止まらない。
よかったのだろうか。
間違ってなかったのだろうか。
考えても答えのない問題に、私は参ってしまいそうだった。