ルビゴンの河の先
6. 外出
「外に出てみたい」
木曜の夜、私が帰ると竹中さんはそう言った。
…顔色いいしなぁ。
そう言えばずっと家の中だった。
「わかりました。明後日は仕事休みですからそのときに」
明日帰りに外出用の服を買ってきてあげればいいか。…ちなみに今は上に白のパーカー、下は紺色のスウェット姿でさすがに外出時までこれじゃ申し訳ない。
私がそう返事をすると、竹中さんは満足そうに頷いてソファに戻っていく。
手に取ったのは広辞苑だ。軍師という位は賢くないとなれないらしい。一日中広辞苑を読みふける彼の姿を想像してさらに申し訳なく思った。