ルビゴンの河の先
…この手はあの日本刀を握って、きっと人の命も奪っている。血で染まったこともあるんだろう。
でも、私が知っている誰よりも優しい。縋ってしまいそうなくらい温かかった。
「………じゃあお揃いで買いましょうか!なんだか私も欲しくなっちゃったし」
自分の気持ちをごまかすようにわざと明るく、はしゃいでみせた。
あぁ、と私の様子に圧倒されたように頷く竹中さんの腕を引っ張り店内に入る。
ああでもないこうでもないと二人で言い合い、選んだのは極めてシンプルなプラチナのベアリング。
プラチナは多少値が張るけど、錆びることはないから竹中さんが元の時代に戻ってからも輝き続けてくれるはず。
私と過ごした証として。