ルビゴンの河の先
ぱち、ぱちと炎が辺りを喰らい尽くす音が聞こえてきた。
部下の放った火は、先程事切れたあの男を黄泉に送る炎となろう。
俺はそれにかまうこともなく水辺に片膝をつき、水面に自分の顔を映す。
濁りなく流れる川の流れ。吸い寄せられるようにそれに手を伸ばした瞬間だった。
「―――死ね」
ほんの一瞬、水面に映った黒い影。
気づかなかったのは一生の不覚。
後頭部を殴られ、気を失った俺を軽々と担ぎ上げた忍らしき男は、そのまま俺を滝に投げ入れた。