ルビゴンの河の先
「私は、もう、………独りになるのは」
―――――嫌だ。
その言葉を聞いて、俺の身体から血の気が引いていく気がした。
独りは嫌だ。
そう言うあかりを置いて、俺はいつか元の世に戻る。そうでなければ困るのだ。
両親を亡くして独りで生きてきた、と。
働き出して出会ったのがさっきの男で結婚の約束までした、と。
しかし身分が違うために男の両親に引き裂かれ、男もまた簡単にあかりを捨てたと。
声を詰まらせながら話すあかりは、今にも消えてしまいそうだった。