ルビゴンの河の先
次の瞬間、眼前に飛び込んできたのは憎らしいくらいに晴れ渡った秋の空。
味わったことのない浮遊感に、あぁ死ぬのかと小さく呟いて。
―――ふざけるな!
死ぬなら戦の中だと、病に気づいてから俺は密かに主に誓ったじゃないか。
この命はそれだけのために燃やし尽くすと!
「………死ねない…っ!」
我に返り、唇を噛みしめてそう叫んだ次の瞬間だった。
滝壺に叩きつけられるはずの身体は勢いを殺したように落下速度を止め、光が俺を包む。
あまりの眩しさを瞳を閉じると、そのまま意識さえも奪われてしまったのだった。