誘う華
体から血が吸い取られていくなんとも言えない感覚がする。


しばらくすると、アノン様はあたしの首筋から顔を上げた。


「ご馳走様。やっぱりベルちゃんの血は極上だね。」



口の血を拭いながら笑顔でいう。

そんなこと言われても、あたしはちっとも嬉しくない。

さっさと、終わって欲しいだけ。


首筋から流れる血を押さえながら今度はアロン様の前までいく。


「アロン様。どうぞお飲みになって下さい。」


「…すまない。」


そういって、牙を軽く突き立て血を啜る。




アロン様は、口数が少なく何を考えているかわからない方だ。

どうして、血を飲むときいつも謝るのだろう…
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