ユビキリ


僕がみた先には。

1人の女性が倒れていた。

血が少し染みになっている。


「大丈夫ですか!?大丈夫ですか!?」


近くで声をかけてみるが、返事はない。


「まさか、死んでる・・・?」


脈は、、、動いている。

生きているみたいだ。

でも、一体どこから血がでているんだ?

刺された形跡はどこにもない。


「救急車を呼んで下さい!!」

『ひゃい。』


僕を呼んだ女性は、立つのがやっとのようだ。

とにかくベッドに運んで楽な体勢にしてあげよう。


「・・・・・あれ?」


そこで僕は見てしまった。

血がどこから出てきてたのかも分かった。

さっき脈をはかったのは右手。

だから気づかなかったのだろう。

左手のある部分がなくなっていた。


――薬指と小指が。
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