ユビキリ
くろ。クロ。黒。
真っ黒。
彼女は真っ黒だった。
腰までありそうなまっすぐな髪、
全身を覆っている服、
誰でも危険を感じさせるオーラ。
恐いくらい真っ黒。
それとは逆に、肌は真っ白。
透明感があり、触ったらそのまま吸い込まれそうな白。
なんでもない白。
全てを消し去りそうな白。
黒と白。
――モノクロ。
モノクロそのものだ。
『6時00分12秒36。
12秒36の遅れ。』
僕の方を見て、彼女はそう言った。