黒い炎
《side 亮》
教室で頬杖をついて、ぼんやりと窓の外を眺める目の前の奴に目をやった。
なぜだか最近この男は変だ。
苛ついたり、今みたいにぼんやりしてみたり。
桜さん曰わく…奴は"普通の男子"になりつつある…らしい。
"普通の男子"ってなんだ?
「…わかんねぇ」
「あ?何か言ったか」
「独り言だほっとけ」
「あっそ…」
そう言って、奴はまたぼんやりと窓の外に目をやった。
男でも見惚れる程の容姿に謎めいた雰囲気。
早くに女を知った優弥は、高校生とは思えないほどの色気も持ち合わせていた。