黒い炎
車のシートにもたれ、窓の外に目をやる。
寄り添い笑いあうカップル達が通り過ぎていく。
優弥と並ぶ自分を想像して、思わず頬が緩む。
「って何考えてるんだろう私…」
「鈴?何やってんの?!」
呟きぶんぶんと頭を振る妹に、昴は驚いた表情をした。
信号待ちで止まっていた事に、鈴は気付いてなかった、まさか兄に見られていたなんて…。
「…へ…えっ、あ、どっどうもしないよ!…何でも無いからっ」
「本当に?」
「本当に!」
「…ならいいけど」
信号の赤が青に変わり、兄は仕方なくハンドルを握り前を向いた。