黒い炎

通りの向こうに見えた制服姿のカップル…女の子は男の子の腕に手を回して…。




私は思わず歩みを止めて、そんな2人を目で追っていた。



胸が痛む…痛い痛い痛い…ギュッと胸元を押さえる。



見間違い…?いや…あれは確かに優弥くんだった…。



だからって何故こんなにも胸が痛むの?…やっぱり私…優弥くんのこと…違う違う…。



心の奥にしまい込まれた感情が、溢れでてしまいそうだった。



「鈴?顔色が悪い…早く帰った方が良さそうだな」



黙ったままの私の手を引き、兄も無言のまま私達は家路に着いた。


痛む胸と、溢れそうな思いに知らないふりをして…。
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