黒い炎
溜め息の数
学校から帰宅した俺は、リビングのソファーに座っていた。
前の俺なら帰宅後は自室に一直線…と言うか桜より帰りはまず遅かった。
筈なのに…知らぬ間にこのソファーに座り、桜を待つのが習慣になってしまった。
「ただいま」
「……」
無言で顔だけ向けた俺に、桜はガクッと肩を落とした。
「あんたねぇ…お帰り!くらい言いなさいよねっ…あ、鈴なら居ないわよ」
「は?別に関係ないし」
立ち上がり自室に戻る俺の背中に、「残念そうな顔しちゃって…」と桜が呟いていたなんて知らずにいた。