黒い炎
部屋に入りベッドに倒れ込む…何故かため息が出る。
「はぁーっ……」
目を瞑れば浮かび上がる鈴の姿。
『優弥くん』
その名のように、鈴のなるような声。
ふと目を開け、自分の手を見つめ思った。
美しく滑らかな肌にこの手を這わした時、彼女はどんな声で鳴くのか…。
そんな事を考えただけで高ぶる自分に、また溜め息が漏れる。
「はぁー…何考えてんだ俺は…」
1人の女に対し、こんな風に思うことなど無かった。
自分が何故こんな事を思うのか…、ただ溜め息ばかりの自分が理解できず、また溜め息を吐き出す。