黒い炎

《side 桜》



「はぁーっ」



ため息を吐いては頬杖をつきぼんやりする。



この光景をもう何度目にしただろうか。



「鈴、何か悩みでもあるの?」


「………」


「鈴?」


「…え…あ、桜ちゃん?…あの、何か言った?」



ぼんやりしている親友は、焦った様子であたしを見たが、暫くしてまた同じようにため息を吐いた。



「優弥」


「え!優弥くん…どこに…」


「あのねぇ…この学校に優弥が居るわけ無いでしょうが」


「あ…もー桜ちゃん酷い」


ぷくりと頬を膨らませ、顔を赤くした鈴の額をツンと突いてやる。
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