黒い炎
「…女の匂い…香水」
鈴の口からこぼれた悲しげな呟に、余計な事を言ってしまったと気付いた。
好きな男から、いつも女の匂いがするなんて…香りが移るほど一緒にいたって事だもの嫌に決まってる。
亮がそうだったら…考えたくないかも。
「り、鈴?あーそれって前の話しで今は無いからね…?それより今日家に来ない久しぶりに!」
「…ぇ…あ、うん…どうしょうかな…」
戸惑っている鈴なんてお構いなしに、あたしは喋り続けた。
「今日は我が家で夕飯って事で決まり!」
「え!…桜ちゃ…」
「買い物して帰ろーね鈴」
「…もう…しょうがないな」
「はい、決まり決まり!」
さっきの話しを無理やり流し、鈴の気持ちもはっきりとしないまま、あたしは無理やり放課後の予定をたてた。