黒い炎
「……はぁ」
「どうした…何かあったのか?」
車のシートにもたれ、思わず吐いた小さなめ息を兄に拾われてしまった。
「…な、にも無いよ?」
「ため息吐くなんて心配するだろ」
「何も無いって…少し疲れたかな…」
「大丈夫か熱は…」
「もう!大丈夫だからお兄ちゃんは運転に集中してっ」
「ふーっ…はいはい」
ため息を吐いた兄は、呆れたようにそう言うとそれからは家まで黙ってくれていた。
会話の無い車内…流れる景色をぼぅっと見ている内に、いつの間にか家に着いていたようだった。