黒い炎
亮に連れられて歩く都がチラリと振り返ったが、冷めた目をしたままの俺に怯えたように直ぐ前を向き直していた。
そんな都を見ても俺の心は何も感じ無かった。
薄情な男…酷い男…そう思われても仕方ない。
俺の感情ってヤツはとうの昔にどっか行っちまったらしい。
誰に何を言われようとどう思われようと関係ねぇ…俺は俺だ。
都が俺をどう思ってるかなんて知った事じゃない…俺はあいつには何の感情ももっていない。
都の思いはウザったいだけだ…女なんてみんな同じだ。
なのに……。
「…………鈴」
思わず漏れたその名。
同じ女なのに…気がつけば彼女の事ばかり考えている自分が居た。
それが何故か解らないから厄介だ。
自分の気持ちすら理解出来ず、夜の街を独り彷徨い歩き家路に着いた。