黒い炎
『ハルさん』…俺たち姉弟が愛してやまない大切な人。
彼女は通いのお手伝いさんだ。
もう結構なトシなくせにパワフルな人。
そのハルさんが先週突然倒れた。
両親よりも長い時間を共に過ごしてきた。
どんな俺も受け止め慈しんでくれた、慈愛に満ちた温かい人
『ハルさんは暫くお休みよ…あなた達も自分の事くらい自分でして頂戴ね』
母さんは電話口でそう言った。
そう言えば、両親の顔を見たのはいつだったか…思い出せねーや、どうでもいっか。
どうせアイツ等は、俺たちに興味なんて無いんだから。