黒い炎
留守がちな両親…俺たちは必然的に何時も一緒だった。
人前に出るのが苦手で何時も桜の後に隠れていた…そんな俺の面倒を見てきた桜。
そんなだから言葉にしなくても俺の気持は何故かいつも解っていた。
「はい、ゆうやは赤いアメちゃんね」
「なんでわかるの?」
「おねーちゃんだから」
何処かの誰かに差し出された色とりどりのアメ。
その中から赤い色のアメを取り出し笑った桜が、俺は今でも忘れられない。
赤い色のアメが食べたかった、でも言えなかった…。
そんな俺の気持ちを解ってくれた姉。
こいつには俺の気持ちや思考がだだ漏れなんだ。
良いのか悪いのか… 本音を言えば今はあまり宜しく無い。
俺は無言のまま椅子に腰を降ろした。