黒い炎

「あんたもあの子も自分を傷つけて過去から逃げてる…お前に何が解るって言われるだろうけど…でもね?心配ぐらいさせてよ姉弟なんだから…ずっと近くにいたのよあんたの事は誰よりも知ってるつもり」



こっちを見ないまま桜は喋り続ける。




「…鈴もあんたと同じように過去に囚われて心を閉ざしてる…あの子の過去の事はあたしの口からは言えないけど…あたしはあんたや鈴の側にずっと居たの…だから解る…あんた達はお互いに気付いてないかもしれないけど意識しあってるのは確かよ」


「意識なんて…」



「してるよ?鈴がこないからイラついてたくせに」


「してない!」


桜の言葉に思わず声を荒げる。




「ほらね?」

「……くそっ」



どうよ?と言わんばかりにふふっと笑う桜にムカついたが、痛い所をつかれ言葉が出てこない。


「鈴を変えてやってよ…もしかしたらあんたを変えてくれるのも鈴かもしれないけど…偉そうな事は言えないけど…」


ゆっくりと立ち上がった桜はポンと俺の肩を叩き、「素直になりなよ」と少し微笑むと部屋へと消えて行った。


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