黒い炎
膨らむ想い
「優弥、俺は先に帰るぜ」
放課後…にこやかに俺の元へやって来た亮は、「さくらさーん」なんて馬鹿みたいに急いで教室を出て行った。
「何が ''サクラサーん"だよ…アホかあいつは…」
呆れ気味に呟き立ち上がった。
そんな俺を追う視線。
都…気づいていたが、面倒な俺は無視を決め込んだ。
あの日から都は俺に必要以上に近寄らなくなった。
正直良かったと思う自分がいた。
変にかまって誤解されても困る、あいつの思いには応えられないから。
「ゆうやぁ?」
廊下を歩く俺の後ろから聞こえた甘ったるい声に、小さくため息を吐きゆっくり振り向いた。