黒い炎
「久しぶりですね…麗奈センパイ?」
「ふふっ…やっと捕まえた…ねぇだめぇ?」
腕をとり胸を押し付け、相変わらずの甘ったるい声と甘ったるい匂いで俺に擦り寄る。
吐き気がする…。
「そんな気分じゃねぇし…後、誰かれ構わずってのやめたんで俺」
「へっ?」
面くらった表情の先輩からすっと離れると、「じゃっ」と軽く手をあげ再び歩き出した。
「ちょっ、ゆうやまってよぉ…」
「うぜぇ…」
「……ぅ…」
冷たく見下ろす俺に先輩の顔から笑みが消えていく。
「離せ」
「……ぁ…ごめ…」
パッと離れた手、何時もと違う俺にセンパイは小さく震えていた。
俯き固まったセンパイを置いて、知らぬ顔で歩き出す俺は非情な男なのだろうか?
それに誰かれ構わずってのやめた…って何だよ…不意をついて出た言葉に戸惑う。
「はぁー……」
何だっていいか…そんな事を思いながら学校を後にした。