黒い炎

人ごみを掻き分け、なりふり構わず走った。



ただ鈴に会いたくて。



ガードレールに腰掛けると脱力した俺は、暫く動くこと無く人の流れを見つめていた。



寄り添うカップルに自分と鈴を重ねたりして…。



恋する乙女か俺は?



「……くっ…くくっ…」



阿保らしくて笑える。



俺は鈴に恋してるのか?




「はーあ…会いてぇなー」




小さく呟いた本音。




会いたいと思えば思う程、思いは膨らんでいた。









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