黒い炎

横向きに座り、鈴を見つめながら口を開いた。



「なあ、何で来たんだ?」



隣りに座っただけで身体を強張らせ、ギュッと制服のスカートを握りしめ更に俯いてしまった鈴。



艶やかな長い黒髪がさらりと肩を滑り落ちれば、追う様に伸びた手がその髪をすくい取る。



露わになった横顔…久しぶりに見た彼女はやはり儚げで透明だった。



「鈴?」




覗き込んだ俺にピクッと身体を揺らし顔を上げた。






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