黒い炎

「おーい、優弥くーん」


「………」


返答などせず、目を瞑り無言の俺。



"ちぇっ"と小さく呟いた後、トサッと音がした。



亮が隣に寝転がったのだろう。


目を瞑り考えてみた、確かに…最近の俺は亮や都が言うように"変"なのかもしれない。



俺が"変わった"とすれば、それはあの日彼女…鈴に逢ってからだろう。



ふとした瞬間に脳裏をかすめるのは、あの澄んだ瞳と恐怖に怯える鈴の姿。



――彼女に会いたい



触れれば壊れてしまいそうな危うさ、あの澄んだ瞳に見つめられれば、誰だって彼女に触れたくて手を伸ばすだろう。



"男が怖い"



桜が言ったあの言葉も気になる。



それに…あの時、俺は鈴から目が離せなかった。
< 16 / 207 >

この作品をシェア

pagetop