黒い炎
「おーい、優弥くーん」
「………」
返答などせず、目を瞑り無言の俺。
"ちぇっ"と小さく呟いた後、トサッと音がした。
亮が隣に寝転がったのだろう。
目を瞑り考えてみた、確かに…最近の俺は亮や都が言うように"変"なのかもしれない。
俺が"変わった"とすれば、それはあの日彼女…鈴に逢ってからだろう。
ふとした瞬間に脳裏をかすめるのは、あの澄んだ瞳と恐怖に怯える鈴の姿。
――彼女に会いたい
触れれば壊れてしまいそうな危うさ、あの澄んだ瞳に見つめられれば、誰だって彼女に触れたくて手を伸ばすだろう。
"男が怖い"
桜が言ったあの言葉も気になる。
それに…あの時、俺は鈴から目が離せなかった。