黒い炎

もっと欲しい…このまま彼女の全てが…そう思った時だった。




……カチャン





玄関から聞こえた物音と話し声に俺は動きを止めた。





「……ちっ…あいつらか…鈴、あいつら帰ってきたから」





トロンとしている鈴を引き起こし、「続きはまた…な?」と、唇に小さくキスを落とし乱れた髪を直してやった。





「え…?あ…わたし…やだっ…」

「くくっ…」



焦って服の乱れを直す鈴が可愛くて笑う俺を、「笑わないでくだ…あっ!よ…?」と言い直し紅い頬を膨らませた。





「敬語…わかってるよな?」

「あ…う、うん…」





柔らかな唇に指先で触れる…あーもっとキスしてぇ…。


< 167 / 207 >

この作品をシェア

pagetop