黒い炎

「…きゃっ」



小さな子猫のように震える鈴を引き寄せぐっと顔を近づけた。




「言っただろ?…敬語はやめろって」





そして俺はその柔らかな感触を味わうように静かに唇を重ねた。




ちゅっ、と音をたて離した唇…真っ赤になる鈴が可愛くて、今度は深いキスを求めた。



ここが街中だろうが人前だろうが関係ない…ただ彼女が欲しかった。



「んっ…ちゅく…っ…ん…」




柔らかな舌と唇…甘い香り…まるで媚薬だ。


「これ以上はやばいな…」

「ん…はぁっ…」




一旦離れ彼女の濡れた唇を親指で拭ってやり、小さな手をとり俺はまた歩き出した。

< 177 / 207 >

この作品をシェア

pagetop