黒い炎
ソファーにちょこんと座り不安そうに俺を見る彼女にそっと手を伸ばす。
こんな顔させたかった訳じゃない…俺がみたいのは…。
「…笑えよ…鈴…」
「…え?」
頬を赤く染め、恥ずかしそうに笑う顔がみたいんだ…俺だけに見せて欲しいんだ。
「鈴の笑った顔…好きなんだ…」
「…ぇ?…」
揺れる瞳に促されるように、自然と吐き出された言葉に驚く鈴…いやそれ以上にそんな言葉を発した俺自身が一番驚いているのかもしれない。
「…って、何言ってんだよな」
「…ふっ、ふふふっ…」
「あーっ」っと顔を掌で隠すように覆えば、隣から聞こえた笑い声。
チラッと目をやれば柔らかく笑う鈴がそこに居た。
やっぱいいな…こんな感情初めてで慣れないけど、鈴にはいつも笑っていて欲しいと思った。