黒い炎

「帰ろーぜ優弥」


「…ん」


鞄を手にし教室をでた。


「綾部くん」


廊下を歩く俺達を誰かが呼び止める。



立ち止まり振り向くと、3年のアスカさんが立っていた。


「アスカさん?」


「綾部くん…ちょっといい?」


隣に並ぶ亮に目をやる。


「すいません先輩、俺達ちょっと急ぐんでまたにしてもらえますー?」


俺の肩に手を回し、「行こうぜ」と急かすようにする亮。


「あー…ごめん…じゃまたね?引き止めて悪かったわ…」


少しバツが悪そうなアスカさん。


「すいませんアスカさん…じゃまた」



と軽く微笑み手をあげ、アスカさんに背を向けその場を後にした。


「なんでウソついたんだ?急ぐなんて」


急ぎの用なんてないはずなのに…隣を歩く亮にちらりと目をやる。
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