黒い炎
「んっ…ふっ…ゆ…っ…ゆうやく…」
「なに…?」
赤い顔を見られ無い様にまた鈴の唇を強引に塞ぎ、キスに夢中になる俺を彼女はぐいっと押しのけようとした。
「あの…話し聞いて…欲しい…わたしを彼女にしてくれるなら…」
真剣な眼差しで俺にそう訴えかける鈴に、そっと頬を撫で「わかった…」と答え隣りに並んで座った。
「あのね……わた…わたしの…過去…のこと…聞いてほしいの…どうして…その…男の人が…怖いのか…」
小さな声で小さな身体を震わせながら喋り出した鈴。
俺はそんな彼女の手に自分の手を重ね、大丈夫だと瞳を合わせてやれば少しほっとしたのか、強張っていた表情もいくぶん柔いだように見えた。