黒い炎
頭を下げた男をじっと見ていた鈴が
口を開いた。


「頭…上げて下さい」


パッと頭を上げた男に鈴は言う。

「忘れます…今から私は忘れます、

あの時の事も…あなたの事も」


「…えっ」


俺たちは突然の鈴の言葉に驚く。


「鈴?」


「あの頃…私はあなたを好きだった

のかもしれません、幼かったとはいえ

自分の気持ちがわからなかった、

だから…わたしも悪いんです」


ぎゅっと俺の手を握り、

「あなただけを悪者にして逃げたくない

私は大丈夫って…堂々としていたいんです

私を変えてくれた彼の隣りで」

俺の目をまっすぐ見た鈴が微笑む。

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