黒い炎
「…でもっ」

「あなたも、忘れて下さい!

お願いします…前に進んで下さい」


俺の手を握ったまま立ち上がり、

「いこっ」

ふふっと笑って引っ張る。

「じゃあ、さようならお元気で」

そう言って鈴は頭を下げた。

男はそんな鈴にもう何もいえず、

ただ黙って頭を下げた。

それ以上何も言わず、鈴は俺の手をひき

歩き出した。

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