黒い炎
「今そんな気分じゃないんですよ俺」
ベルトにかかる指先を掴み、優しく笑って誘いを断った。
「えー…つまんなーい」
唇を尖らせたセンパイを引き寄せ囁いてやる。
「…今日はこれで許して」
テラッと光る唇に自分の唇を重ね、チュッと吸い上げて微笑んだ。
「ん…もっと」
キスをせがむセンパイに、小さくため息を吐き出しその唇を覆った。
「今度は最後までしてよねっ…」
キスで満足してくれたらしいセンパイ。
これ以上誘っても無理と感じたのだろう、彼女は少し不機嫌に教室を出て行った。
その後ろ姿を見送り、ベタつく唇を拭った。
「あー気分わりぃ…」
したくもねぇキスのせいで、俺の気分は最悪だった。