黒い炎
不可解な心悸
――――…
―――…
――…
「なんだ桜さんいねぇのかよ…」
家に着いた俺達。
玄関先で、がっくりと肩を落とす亮に再度ため息を吐く。
「お前ねぇ…」
「いつ帰るかな?もうかな?あー早く帰ってこねぇかなー」
そわそわと落ち着かない亮は、リビングのソファーに座ってからも、チラチラと玄関を気にしていた。
「ちょっと落ち着けば?その内帰ってくるだろ」
「あー早く会いてぇなー」
ソファーでクッションを抱きしめる亮にため息。
何度ため息を吐かせる気だこの男は!
「亮、俺の部屋行かねーの?」
「は?何言ってんだよ、桜さんが帰ってきたらわかんねーだろうが!」
「…………アホらし」
呆れて呟いた俺が、キッチンに向かい冷蔵庫を開けた時だった。